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撮って出し映像/社内イベントの映像に関して情報発信しています。

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編集スタッフが語る!撮って出し映像を撮る前に決めてほしい5つのこと

第1章 撮って出し映像とは?表彰式で注目を集める理由

「撮って出し映像」とは、イベント当日に撮影した映像をその日のうちに編集し、式典の最後などで上映する映像のことです。

撮影から編集、上映までがすべて1日の中で完結するため「当日編集」とも呼ばれます。ここ数年、社内表彰式やキックオフイベントなどで急速に広まっており、特に社員の感動を最大化する演出として注目されています。

なぜ今、撮って出し映像が選ばれるのか。それは「リアルタイム性」と「一体感」を同時に生み出せるからです。たとえば、表彰式の様子や受賞者の涙、拍手の瞬間をその場で映像にまとめて上映することで、社員は“今日という日の物語”をその場で振り返ることができます。エンディングで流れる瞬間に、参加者全員の感情がひとつにまとまり、会場に独特の熱気が生まれるのです。

また、撮って出し映像はSNSや社内ポータルなどの「広報資産」にもなります。

リアルな笑顔や熱量を社外にも発信できるため、企業ブランディングや採用広報にも効果的です。近年では「感動する表彰式を作りたい」「社員の頑張りを即座に共有したい」という目的で導入する企業が増えています。

ただし、撮って出しはスピード勝負。撮影だけでなく、編集・上映のタイムライン設計やチーム連携が成功のカギを握ります。

だからこそ、事前に「何を撮り、どのタイミングで上映し、どんなメッセージを届けるのか」を明確に決めておくことが重要です。次章では、そのために欠かせない全体の流れを整理していきます。


第2章 撮って出し映像を成功させるための全体フローを理解する

撮って出し映像の最大の特徴は「リアルタイムで完結する」こと。そのため、撮影から編集、上映までの流れを明確に設計しておく必要があります。ここを曖昧にしてしまうと、時間が足りなくなったり、編集が間に合わなかったりと、当日に大きなトラブルにつながります。

一般的な流れは以下の通りです。

  1. 事前打ち合わせ 撮影対象・上映タイミング・映像構成を決定。
  2. 撮影チーム配置 複数カメラで要所を押さえる。
  3. 素材回収・編集開始 カメラカードを即座に編集ブースへ。
  4. 仮編集→最終書き出し 式進行の裏で編集が進行。
  5. 上映チェック→本番投影 映像出力と音響・照明を最終確認。

この一連の動きは、表彰式の進行表と完全にリンクしていなければなりません。特に重要なのが「編集スタートタイミング」。式が進行する中で、どの瞬間にどの素材を使うかを編集チームと共有しておくことで、当日の混乱を防げます。

また、撮って出しは「撮影チーム」「編集チーム」「会場オペレーションチーム」の三位一体で進めるのが鉄則です。

これらの連携をスムーズにするために、1週間前までに「撮影動線マップ」「素材管理ルール」「データ転送方法」を決めておくと安心です。

次章では、実際に撮影前に必ず決めておきたい5つのポイントを、現場の編集スタッフ目線で具体的に解説します。


第3章 編集スタッフが教える!撮影前に決めてほしい5つのこと

撮って出し映像は“準備力”で決まります。撮影チームと編集チームが同じ方向を向くためには、以下の5つを事前に明確化しておくことが欠かせません。

①どのタイミングで上映するか
エンディングで上映するのか、受賞直後にサプライズで流すのかで、編集構成は大きく変わります。上映タイミングを明確にすることで、撮影カットの優先順位が決まります。

②誰を中心に撮るか?
受賞者・司会者・経営陣・観客など、主役の設定を決めましょう。感情の流れを意識した映像づくりには「誰の物語を描くか」が重要です。

③撮影と編集の優先順位
限られた時間の中で「感動」「笑顔」「臨場感」のどれを軸にするかを決めます。構成の方向性が定まれば、現場判断がしやすくなります。

④素材の受け渡し方法と形式
SDカードやSSD、無線転送など、データ受け渡しのルールを決めておかないと、編集が遅れる最大の原因になります。ファイル名の命名規則も統一しましょう。

⑤上映環境の確認
スクリーンの解像度や音響レベル、照明との連動を事前に確認。編集側の書き出し設定と会場機材が一致していないと、映像がうまく再生できないこともあります。

この5項目を撮影前に共有するだけで、当日の現場トラブルは大幅に減ります。撮って出し映像は、スピードよりも“段取りの精度”でクオリティが変わるのです。


第4章 現場でよくあるトラブルとその回避法

どれだけ綿密に準備しても、現場には思わぬ落とし穴があります。

よくあるトラブルと、それを防ぐための具体策を紹介します。

1. 撮影エリアが制限される
当日、来賓席やカメラ導線が変更され、撮影ポジションが取れなくなるケースがあります。→事前に会場図を確認し、移動カメラ用の逃げ動線を確保しておくことが重要です。

2. 音声が取れない/編集素材が使えない
PA音声のラインが取れない、マイクトラブルなども頻発。→バックアップとしてカメラ内マイク音声も常に収録しておきましょう。

3. 編集時間が足りない
式の進行が押すと編集時間が短縮されます。→上映時間を30分前倒しで想定して構成を設計しておくと安全です。

4. データ破損や渡し漏れ
カードの受け渡し時に素材を紛失するケースもあります。→撮影班が編集班に直接手渡しする「ワンライン制」がベスト。

5. チェック時間不足
編集が終わっても上映チェックを省略すると、本番で映像が止まる危険も。→最低5分の再生確認時間を確保するよう進行表に組み込みます。

これらのトラブルはすべて、事前共有とタイムマネジメントで防げます。撮って出しは「速さ」より「正確な連携」が命。現場の空気を読む判断力と、冷静な進行設計が成功の鍵です。


第5章 プロの現場だからこそ見える「伝わる映像」のつくり方

撮って出し映像は、単なる記録ではなく「その日の物語」を伝える作品です。カットをどれだけ多く繋ぐかよりも、「どんな想いを残すか」が本質です。

編集スタッフが最も大切にするのは、“感情の波をつくる”こと。拍手・笑顔・涙・ハグなどこの感情の流れを繋ぎ、見る人が「自分も頑張ろう」と思える映像にすることが目的です。だからこそ、編集中も「会社の想い」「表彰の意味」を理解したスタッフが担当することが重要です。

さらに、照明や音楽の選定も映像の印象を左右します。明るくハイテンポなBGMを使えば爽やかに、静かなピアノでまとめれば感動的に。同じ素材でも、編集意図で印象が180度変わります。

プロの現場では、「最速で仕上げる技術」だけでなく「最短で伝わる編集判断」が問われます。限られた時間の中で何を残し、何を削るか。その判断こそが、企業の物語を紡ぐ“表現の力”になるのです。


第6章 まとめ|撮って出し映像の成功は「準備8割、撮影2割」

撮って出し映像は、スピード編集の裏に緻密な設計が隠れています。成功の鍵は「事前に決めておくこと」。どの瞬間を撮るか、どのタイミングで上映するか、誰が編集を判断するか——この3点を明確にするだけで、仕上がりは格段に変わります。

そしてもう一つ大切なのは、映像は“会社のメッセージ”そのものだという意識です。社員一人ひとりの努力を「その日のうちに形にする」ことは、社内の誇りを映像で共有する行為でもあります。

現場では常に想定外が起こります。しかし、事前準備が整っていれば、そのすべてを“感動の一瞬”に変えられます。撮って出し映像の成功は偶然ではなく、チーム全員の設計力と現場力の結晶です。

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