企業の魅力が伝わる!撮って出し映像を使った採用ブランディング成功事例
■ 1章 採用説明会の課題から始まった気づき
採用担当のAさんが最初に感じていたのは、説明会の空気がどうしても固くなってしまうという悩みだった。資料を丁寧に説明しても、学生の表情が読み取りづらく、興味の温度が上がるタイミングがつかみにくい。
会社の魅力は言葉だけでは伝わりにくいと分かっていながら、ほかに手がなく、毎年同じ構成で進める状況が続いていた。
そんな中、社内表彰式で導入した撮って出し映像を初めて社内で見た時に、大きな変化が起きた。普段は見せない表情で頑張る社員、受賞者を祝う空気、緊張と緩和が入り混じるあの瞬間。どれも特別な演出をしているわけではないのに、映像に映る人の姿から会社らしさが自然と伝わってくる。Aさんは、これなら学生にも届くのではないかと感じたという。
映像を採用に活用する話はもともとなかったが、社内のメンバーからも「これは説明会で使えそう」という声が上がり、一度試してみようという流れになった。悩んでいた採用課題に、ほんの少し光が差した瞬間だった。
■ 2章 説明会で上映してみたら空気が変わった
初めて撮って出し映像を説明会で流す日は、Aさん自身も少し緊張していたという。どんな反応が返ってくるのか予測できず、学生の顔を見るのが怖いような楽しみなような、複雑な気持ちだった。
映像が始まると、会場がふっと静まり、学生の視線が一斉にスクリーンに向いた。社員同士が肩をたたき合っている場面、慣れない壇上で言葉をつまらせる受賞者、仲間の成果を本気で喜ぶ姿。どれも作り物ではないので、見る側にも変な構えが生まれない。少し笑ったり、うなずいたり、スクリーンの光に照らされた表情が柔らかく変わっていくのが分かった。
上映が終わった後の質疑応答では、普段よりも質問が増えた。働く人の雰囲気や空気感について具体的に尋ねる学生が多く、Aさんは驚いたという。これまで会社の制度や強みを説明しても響きにくかった部分が、映像を見ることで自然と伝わり、学生が主体的に踏み込んでくる。そんな変化が目に見えて現れた瞬間だった。
■ 3章 実際の数字にも変化が現れた
印象の変化はその場の空気だけにとどまらず、実際の行動にも影響した。撮って出し映像を上映した回は、その後の一次選考への進行率が明らかに上がった。説明会に参加した学生が、そのまま離脱せず、もう少し企業のことを知ろうとする姿勢が強まったのだ。
Aさんは、これは単なる偶然ではないと語る。
映像を見ると、企業紹介の言葉よりも先に、働く人の関係性や価値観が自然と頭に入ってくる。学生の立場からすれば、働くイメージが鮮明になることが安心につながり、一歩踏み出す後押しになるのだろう、と。無理に魅力を伝えようとするのではなく、ありのままの姿を見せることで信頼が生まれる。その効果の大きさを実感したとAさんは振り返っている。
採用の場での数字が動き始めると、社内からも映像活用を評価する声が増えた。普段の説明では伝わりきらなかった魅力が、映像なら一瞬で届く。そんな確信に近い感覚が広がっていった。
■ 4章 リアルを見せることがブランディングにつながる
撮って出し映像には凝った演出はない。特別な照明や脚本があるわけでもない。
けれど、映像に映る表情や空気の温度がそのままブランドになる、という気づきをAさんは得た。広告用に整えた言葉よりも、現場の息づかいや表情のほうが、見る側の心に残る。
学生は企業説明を聞くとき、どうしても“良いことが並ぶ場”だと感じてしまう。その警戒心を超えていくには、作り込まれたメッセージよりもリアルな出来事のほうが強い影響を持つ。撮って出しの映像は、企業の価値観や社員の関係性を、無理なく、自然に、そして正直に伝えてくれる。
Aさんは、今では撮って出し映像を「社内の財産」と表現するようになった。社員の姿こそが企業らしさであり、そこにある熱量がブランドを形成していく。そんな実感を得たからこそ、今後の採用活動にも積極的に活用していく予定だという。
ブランディングとは特別な施策を行うことだけではない。日々の積み重ねや、働く人の姿をそのまま届けるだけで十分に価値になる。その事実を、撮って出し映像が証明してくれた出来事だった。

