イベント映像の料金相場をプロが解説|撮って出しと通常編集の違いとは?
- イベント映像の料金がわかりにくい理由は、種類ごとに工程と人員が異なり、費用構造が大きく変わるため。
- 撮って出し映像は当日編集の負荷が高く、スタッフ数やスピードが必要で相場が高くなりやすい。
- 通常編集は時間をかけて作り込むため、撮影日数・編集量・修正回数が料金に影響する。
- 目的に応じて映像種類を選び、見積もりのチェックポイントを押さえることで、無駄なコストを抑えながら最適な品質を得られる。
第1章【はじめに】なぜ映像料金はわかりにくいのか
企業イベントの映像料金は、初めて見た担当者が驚くほど幅があります。
数万円で収まるケースもあれば、条件によっては100万円を超えることも珍しくありません。この差が生まれる理由は、映像制作の工程が非常に多く、業界外の人に伝わりにくい構造になっているからです。撮影と編集だけでなく、準備や仕込み、素材管理、専門スタッフの配置など、見えづらい作業が積み重なることで費用が変動します。また、カメラ台数やスタッフ人数、編集量、イベント規模によって最適な組み合わせが変わるため、単純な相場の比較では判断できません。
もう一つの理由は、映像の種類ごとに費用構造が異なる点です。特に撮って出しと通常編集では、必要な技術や時間の使い方がまったく違います。表面的には「どちらも動画をつくる」という同じ結果に見えても、制作側が行う工程は別物と言っていいほど違います。これが料金の理解を難しくしています。
そこで本記事では、イベント映像の料金がどう決まるのか、撮って出しと通常編集の違いを明確にしながら、プロの視点で分かりやすく整理していきます。理解が進むことで、見積もりを見たときの判断軸ができ、適切な選択がしやすくなるはずです。
第2章 イベント映像の種類と特徴
イベント映像と一言で言っても、用途によって種類が異なります。まず、撮って出し映像は当日に撮影した素材を即編集し、イベントの最後に上映するスタイルです。当日の空気をそのまま伝えることができ、参加者の満足度に影響しやすい特徴があります。
次に通常編集。これは事前に撮影した素材や既存素材を使い、時間をかけて編集するタイプです。しっかり構成を組みたい時や、プロモーション映像を作りたい場合に向いています。色補正やテロップ、アニメーションなどの作り込みが可能なため、完成度を求める映像に適しています。
そして、記録映像。これはイベント全体を長尺で撮影し、資料用として残すものです。記録としての価値を重視し、編集は最小限。会議やシンポジウムでよく選ばれるスタイルです。
イベントの目的によって選ぶべき映像が変わるため、必要な種類を整理することが料金理解の第一歩になります。
第3章 撮って出し映像の料金相場と内訳
撮って出し映像の相場は30万〜100万円程度と幅があります。最も費用に影響するのは、人件費と時間的負荷です。
撮影スタッフに加えて、当日その場で編集する専任エディターが必要になり、イベントの裏でずっと映像を組み立てるため、大きな負荷がかかります。
カメラ台数が増えると機材費が増え、編集難度も上がります。また、イベント規模が大きいほど重要な瞬間が増え、撮影範囲も広がるため、複数のカメラマンが必要になります。さらに、音声の収録、照明調整、データの受け渡しなど、通常の撮影よりもチームワークとスピードが重視される工程が多く発生します。
見積もりの中で増えやすい項目は、追加スタッフ、追加カメラ、当日編集ブースの確保、上映機材との調整などです。撮って出しは技術的な難易度が高く、当日のトラブルを避けるためにスタッフ人数が増える傾向があります。この構造を理解しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
第4章 通常編集の料金相場と内訳
通常編集は10万〜80万円程度が一般的です。内容によって幅が大きく、企画構成費が加わるとさらに高くなる場合があります。料金が分かれやすいポイントは、撮影日数、編集ボリューム、修正回数です。
撮影が1日で済む場合と、数日かかる企画では費用が倍以上変わります。また、編集はカット作業のほかに、テロップ入れ、BGM選定、色補正、ナレーション収録など、多くの工程が関わります。長尺になれば編集時間も比例して増えるため、料金も上がります。
さらに、修正回数もポイントです。軽い調整なら追加料金なしで対応されるケースもありますが、大幅な再編集は追加費用が発生します。長尺映像ほど直す箇所が増えやすく、費用が上がる傾向があります。
通常編集は制作期間が数週間に及ぶことが多いため、スケジュールの管理も重要です。丁寧に仕上げたい企業には向いていますが、即日上映のようなスピードが必要な場面とは用途が異なります。
第5章 【料金比較】撮って出し vs 通常編集
一般的には、撮って出しの方が通常編集より高くなる傾向にあります。その理由は、時間的制約と人員配置の密度です。撮って出しは短時間で「完パケ」を作る必要があるため、現場に複数の専門スタッフが常駐し、全員がリアルタイムで動き続けます。この負荷が料金に反映されます。
一方で、通常編集は時間をかけて丁寧に作り込むため、企画性や演出性を高めることができるのが強みです。目的が違うため、単純な金額比較ではなく、どのタイミングでどの効果を得たいかで選ぶ必要があります。例えば、表彰式のエンディングや採用説明会の締めは撮って出しが強いですが、周年のプロモーション映像やオープニングムービーでは通常編集が適しています。
どちらが高いかではなく、イベントの目的に対してどちらが費用対効果が高いかで判断することが大切です。
第6章 イベント別の最適な映像選択(ケース別ガイド)
表彰式:エンディングで参加者の感情を高めたい場合は撮って出しがおすすめ。受賞者や参加者のリアクションを集め、場の一体感を生む効果が大きいです。
周年イベント:会社の歴史や歩みを丁寧に伝えたい場合は通常編集が有利。企画構成が入り、メッセージの精度を高めることができます。
採用イベント:学生の不安を取り除きたい場面では撮って出しが強い選択肢。人の雰囲気がリアルに伝わり、共感を生みやすくなります。
キックオフ:目標共有やモチベーションアップが目的の場合は、通常編集と撮って出しの併用も効果的。序盤は事前制作、締めは当日編集という構成が理想的です。
懇親会:カジュアルな場では、撮影中心の記録映像にして費用を抑えるケースが多いです。
第7章 プロが教える見積もりのチェックポイント
見積もりを見る際は、金額だけで判断しないことが重要です。特に確認すべきは、スタッフ人数、カメラ台数、編集内容、データ納品の形式です。ここに曖昧さが残っていると、後から追加費用が発生しやすくなります。
また、費用が上がりやすい項目として、撮影時間延長、追加修正、ナレーション追加、字幕量の増加などがあります。見積もりに含まれている範囲を確認し、必要な部分に優先順位をつけることでムダを避けることができます。
さらに、安く見える見積もりには注意が必要です。必要なスタッフが不足していたり、音声・照明設備が不十分な場合、結果的に質が下がり、イベント本番で後悔するケースもあります。適正な費用で適切なクオリティを確保することが、もっとも重要な判断基準です。
第8章 料金を上げずにクオリティを上げる方法
事前の共有事項を増やすほど、制作側も無駄なく動けます。イベントの流れ、見せたいシーン、使いたい素材を事前にまとめておくことで、撮影効率が上がり、編集時間も短縮できます。また、不要なシーンを減らすことで編集量が減り、結果的にコストが下がるケースもあります。
撮影計画を明確にし、必要な画を優先して撮ることで、追加撮影のリスクを避けられます。さらに、修正回数を事前に絞ることで費用を抑えることができます。プロと連携しながら、ムダを削りつつ大事な部分はしっかり押さえることが、コストパフォーマンスを高める最善策です。
第9章【まとめ】料金の知識は失敗防止の最善策
イベント映像の料金は一見複雑に見えますが、内訳を理解することで適切な判断ができるようになります。撮って出しと通常編集は目的も工程も違うため、用途に合わせた選択が必要です。見積もりの仕組みを知ることで、ムダなコストを避け、最適な投資に導けます。
イベントの目的に合った映像を選び、制作会社と正しく連携することで、費用以上の価値を生み出す映像が完成します。映像は単なるオプションではなく、イベント成功の大きな武器になります。

